2025年 当選者インタビュー|Anil Tosaさん
当選したときの気持ちを教えてください。
東京マラソンへの当選を知らせる素晴らしいメールを受け取った時、私は仕事中でしたが、もう有頂天でした!まさか自分が選ばれるなんて思ってもみなかったので、本当に感激しました。実はそのメールを受け取る2日前、妻から妊娠したという報告を受けていたんです。それこそ人生最大級のニュースだったはずなのですが、当選の知らせに興奮して、一瞬そのことすら忘れてしまうほどでした。メールを読んで(東京行きが決まったことが嬉しくて)すぐに妻に電話をしました。「東京へ行くことになったよ!」と伝えたのですが、彼女の声が少し戸惑っているように感じて、私は不思議に思いました。すると彼女は優しく、「私、妊娠しているのよ」と思い出させてくれたんです。もちろん、第一子を授かったことはこの上ない喜びです。ただ、そうなると「本当に東京へ行けるのか」を考え直さなければなりませんでした。大会当日、生まれてくる赤ちゃんはまだ生後3ヶ月。生後3ヶ月の乳児を連れて14時間のフライトに耐えられるのかといった移動の負担など、考慮すべき点はたくさんあります。東京へ行くべきかどうか、妻と二人で長い時間をかけて話し合いました。
東京マラソン2026に向けて、どんな準備や想いで臨みましたか?
東京マラソンに向けた準備は、非常に過酷なものでした。トレーニング自体がハードなのはもちろんですが、ちょうど練習の開始時期にあたる2025年12月3日に息子が誕生したからです。一番の敵は「睡眠不足」でした。30kmのロングランから帰宅した後、本来なら体を休めたいところですが、そこから私の子どものお世話の番です。妻を休ませるために、おむつを替え、息子をあやします。30km走った後に、息子を落ち着かせ、寝かしつけるためにスクワットをしたり、階段を上り下りしたりするのは本当に大変でした。ですが、何ひとつとして「こうしておけばよかった」と後悔していることはありません。
レースを控えた私の心の中には、複雑な思いがありました。実は2025年のロンドンマラソンにも出場したのですが、残念ながら計画通りにはいきませんでした。ゴールまで残り約800mという地点で倒れてしまい、嘔吐し、回復するまでしばらく待機しなければならなかったのです。最終的には完走を許されましたが、その経験が精神的なトラウマとなり、一時は走ること自体を辞めてしまおうかと思ったほどでした。その後、幸いにも走り続けることはできましたが、「東京でも同じことが起きたらどうしよう」という不安は常に頭の片隅にありました。そのため、メンタルトレーニングを重ねて不安を打ち消し、ポジティブな思考に切り替える必要がありました。そんな私を支え、突き動かしてくれたのは、東京で妻と息子がいてくれるという確信でした。
レース当日、最も印象に残っている瞬間は何ですか?
沿道の皆さんの素晴らしい応援と、それが途切れることなくずっと続いたことが、とても印象に残っています。コースの途中には観客がいない区間もあるだろうと思っていたのですが、どこを見ても信じられないほど多くの人がいて、すべてのランナーに熱い声援を送ってくれていました。また、浅草の浅草寺の前を駆け抜けたのは、本当に素晴らしい体験でした!
42.195kmの中で、心が動いた出来事や出会いはありましたか?
特定の瞬間を選ぶのが難しいほど、大会全体が素晴らしい経験でした。これほどの体験は、人生で二度とないのではないかと思います。ランナー同士は互いに助け合い、運営スタッフはとてもフレンドリーで、コースも最高でした。当日の天気まで、味方をしてくれているかのように美しかったです。完走できたことだけでなく、ロンドンマラソンでの経験を乗り越え、最後まで力強く走りきれたことは、自分にとって非常に感情が揺さぶられる出来事でした。意識を失うことなくマラソンを完走できたことは、まさに自分自身を取り戻す「リベンジの旅」だったと感じています。
東京マラソン2026を通じて、印象に残っている人や出来事があれば教えてください。
それは100%、愛する素晴らしい妻です。彼女こそが、私が東京マラソンに出場できた理由です。練習に行く気力が起きない日も、彼女は献身的に私を支え、励まし続けてくれました。生後間もない息子を連れて本当に東京へ行くべきか、私はずっと迷っていましたが、彼女は一度も疑うことなく「家族3人で行って、初めての家族旅行を東京で過ごそう」と言い切ってくれました。彼女は最高の母親です。産後間もない時期に、3ヶ月の赤ちゃんを連れて14時間のフライトに挑むだけでなく、夫がマラソンの練習を続けられるよう背中を押してくれる新米ママが、ほかにどれほどいるでしょうか。東京マラソンでの完走メダルは、私たち家族3人のものです。
東京マラソン2026の経験は、あなたにどんな変化をもたらしましたか?
今回の経験で、妻との絆がより深まったと感じています。息子の世話だけでなく、お互いを思いやるチームとして動くことができました。おかげで、幼い息子を連れての旅行にも自信がつきました。また、息子にとって良い手本であり続けられるよう、健康的な習慣を維持していこうという決意もより確かなものになりました。
走り終えた今、東京マラソンはあなたにとってどんな存在になりましたか?

東京からロンドンへ戻るフライトの中で、じっくりと振り返る時間がありました。
腕の中に息子を抱きながら、私たちがどれほど無謀な挑戦をしてきたのかを実感しました。
初めての子どもを迎え、生後3か月の赤ちゃんを連れて東京へ渡り、さらにロンドンマラソンでつらい経験をした後にもかかわらず、マラソンのトレーニングを続けてきたのです。
それでも、もしもう一度できるなら、私は同じことをまたやると思います。
東京マラソンに出場する機会をいただけたことは、本当に光栄であり特別な経験でした。
そして、この思い出は一生大切にしていきたいと思います
今回の経験を一言で表すと?

「一生に一度の、かけがえのない時間」
東京マラソン2025 インタビューリレー
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