インタビューリレー
東京マラソンを通じて生まれたつながりのストーリー
世界中の見知らぬ人、友人、家族を一つに結ぶ魔法のシンボル 新幹線で出会った日本人とのつながりのストーリー

「東京マラソンを通じて生まれた“人と人のつながり”のストーリー」をテーマにお届けするインタビューリレー 2nd Run。
今回は、新幹線で出会ったある日本人との会話と完走メダルを通して、東京マラソンが掲げる理念の本当の意味を知ったRephさんのストーリーを紹介します。

走ることは世界中の人々を一つの街、一つの体験へと結びつける
私の「つながり」の物語は、2人の人物との出会いについてです。一人は、東京マラソン2023に出場するために日本を訪れた際、初めて出会った友人のオリオン。そしてもう一人は、2026大会の数日後、スノーボードを楽しんだ帰りの新幹線の中で出会った、ご年配の日本人男性です。
東京マラソン2026を完走した数日後、私は新潟でのスノーボードを終え、東京へ戻る新幹線の中にいました。隣り合わせたご年配の日本人男性に、なぜ日本へ来たのかと尋ねられ、「東京マラソンを走るために来ました」と答えて完走メダルを見せると、彼は「手に取ってもいいですか?」と聞いてきました。メダルをじっと眺める彼の顔は、パッと輝きました。新幹線が雪景色の中を駆け抜ける間、私たちはランニング、家族、そして人生について語り合いました。
その瞬間、私は東京マラソンが掲げる「走ることは、たとえ世代や国籍が違っても、見知らぬ者同士を一つにできる」という理念の本当の意味を肌で感じたのです。
この出会いは、ある小さな決断から始まりました。数カ月の厳しいトレーニングを経て、3時間3分53秒というタイムで完走した後、私はメダルをすぐにバッグに仕舞い込むのではなく、東京の街を散策し、日本の文化に触れる間、ずっと持ち歩くことにしたのです。ニューヨークから東京のスタートラインに立つまでの道のりは、走ることがいかに世界中の人々を一つの街、一つの体験へと結びつける強い力を持っているかを思い出させてくれました。しかし、メダルを持ち歩くことで、これほどまでに多くの有意義な会話やつながりが生まれるとは想像もしていませんでした。街中で出会った優しさやホスピタリティには、日本が誇る「おもてなし」の精神が溢れていました。

東京マラソンが瞬時に私たちの共通言語になった
また、私にとって大切なつながりの一人が、2023大会で初めて日本を訪れた際に出会った友人のオリオンです。ニューヨーク出身で日本に10年以上住んでいる彼とは、初出場の完走後に祝杯を挙げ、以来、世界の反対側に住みながらも友情を育んできました。今回の2026大会での再会は、私にとって大きな楽しみでした。完走した夜に再びお祝いをし、数日後にはお茶を飲みながらゆっくり語り合いました。
その時、オリオンは私の「死ぬまでにやりたいことリスト」の一つだった、新潟のGALA湯沢へのスノーボード旅行の計画を手伝ってくれました。彼がいなければ、日本語のサイトを読み解き、新幹線の座席を予約するのは難しかったでしょう。東京を離れて目にした日本の別の側面は、忘れられない素晴らしい経験となりました。そして、その旅の帰りに、あの新幹線での予期せぬ会話が生まれたのです。
新幹線で出会った男性は、かつてエンジニアとして働いていたこと、今でも娘さんとスキーやバイクを楽しんでいることなど、自身の人生について話してくれました。私がランナーだと知ると、彼はさらに興奮した様子でレースのことを尋ね、自身が若かりし頃に走っていた思い出や、生涯続くスポーツへの愛を語ってくれました。年齢も、文化も、言語も違いましたが、東京マラソンが瞬時に私たちの共通言語になったのです。
娘さんとスポーツを楽しむ彼の話を聞き、私は自分の父との関係を思い出しました。76歳になる父と私は、2022年から「アボット・ワールドマラソンメジャーズ」の6大会全制覇を目指す旅を始めました。共にトレーニングし、マラソンを走ることで、言葉では言い表せないほど父子の絆は深まりました。私たちはまだ東京とロンドンの2大会を残しており、「いつか父と妻と一緒に日本へ戻り、東京マラソンを走りたい」と話すと、彼は温かい微笑みを浮かべ、「ぜひ家族みんなで戻ってきて、一緒に走ってほしい」と言ってくれました。
その瞬間、私は気づきました。新幹線の中での一つの会話が、東京マラソンを通じて「3つの世代」のランナーを結びつけたのだと。東京マラソンのメダルを持ち歩くことは、単にレースを思い出すためのものではありませんでした。それは、予期せぬ人々や物語と私をつないでくれる、魔法のシンボルのようになったのです。

東京マラソンは単なるレースではない
東京マラソンは、コース上のランナー同士をつなぐだけではありません。フィニッシュラインを越えたずっと後でも、人々をつなぎ続けてくれるのです。
東京の街でメダルを持ち歩いたことで、自分一人では決して計画できなかったような出会いや、物語の共有、そして友情を育む機会が生まれました。たとえ国や世代、文化が違っても、「走ること」は瞬時に互いを理解させる共通言語になります。こうした瞬間を通じて、マラソンとは単に個人の記録や達成感のためだけにあるのではないと強く確信しました。その道のりで形づくられる人間関係や思い出こそが、マラソンの真の価値なのだと気づかされました。
私の願いは、いつか妻と父と一緒に再びこの場所へ戻り、私たちの「Six Star Finisher(世界6大マラソン制覇)」への旅路として東京マラソンを走ることです。沿道の凄まじいエネルギー、街の美しさ、そして東京の人々が持つ温かい「おもてなし」の精神を、二人にもぜひ肌で感じてほしいと思っています。
結局のところ、東京マラソンは単なるレースではありません。見知らぬ者同士が友人になり、一生の思い出が刻まれ、フィニッシュラインを越えたずっと先までつながりが続いていく場所なのです。たった一つの完走メダルが、世界中の見知らぬ人、友人、そして家族を一つにつないでくれたのですから。