インタビューリレー

東京マラソンを通じて生まれたつながりのストーリー

二人のマラソンランナーによる、命を救う出会い 医師と患者のつながりのストーリー

二人のマラソンランナーによる、命を救う出会い 医師と患者のつながりのストーリー

「東京マラソンを通じて生まれた“人と人のつながり”のストーリー」をテーマにお届けするインタビューリレー 2nd RUN。

今回は、命を救った患者が同じ東京マラソン2026を目指すランナーだったというAndyさんの「医師と患者のつながりのストーリー」を紹介します。

はじまりは、救急外来

マラソンランナー同士のつながりは通常、ランニングクラブやランニング中の出会い、あるいはレース会場で築かれます。しかし、私とロブの出会いは、ありふれた出会いとは程遠いものでした。はじまりは、救急外来だったのです。

私はロサンゼルス近郊の地域病院で救急医として働いており、勤務開始直後のことでした。救急外来の無線で男性がランニング中に倒れたという報告が入ったのです。居合わせた人が心肺蘇生を行い、救急隊が到着した時には患者は心停止状態でした。救急隊は患者に薬剤を投与し、電気的除細動を2回行い、当院の救急外来へ搬送されました。

患者が到着し、心電図モニターを装着している間、私はすぐに彼の服装に気づきました。マラソンランナーの服装、タイツ、シングレット、エナジージェル、そしてランニングシューズ。私もマラソンランナーなので、名前も身分証明書もないこの患者を見て、まるで鏡を見ているようでした。「これは自分だったかもしれない!」と心の中で思いました。

同じマラソンランナーの命を救えた誇り

最終的に、患者の名前がロブであることが分かり、ご家族に連絡を取りました。私は救急外来で奥様と娘さんたちに会い、何が起こったのか、そして彼が心臓血管を開通・修復する処置を受けており、その後に集中治療室へ移ることを説明しました。心停止からの生存率が極めて低く、10%未満であることは心のどこかで分かっていました。しかし、ご家族には、彼のためにできる限りのことをしていると伝え、安心させました。

ロブの病状を注意深く見守っていましたが、容態は不安定ながらも、彼は奇跡的に回復に向かっていました。2日後、彼の様子を見にICUへ行きました。意識ははっきりしていて、疲れてはいましたが、話もできるロブが迎えてくれました。ロブの奥さんがベッドサイドにいて、話をしているうちに、彼が長距離ランニングの格好で病院に来たので、ランナーなのかと尋ねました。奥さんは「はい」と答え、2026年の東京マラソンに向けてトレーニング中だと教えてくれました。

私も東京マラソンに向けてトレーニングの最終段階に入っていたので、この話を聞いて本当に驚きました。地球の反対側で同じ目標に向かってトレーニングしていた二人が、悲劇的な出来事によって出会ったという事実に、私たち全員が衝撃を受けました。同じランナー仲間であると同時に、医師と患者という関係でもありました。強い絆を感じただけでなく、自分とチームが、同じマラソンランナーの命を救えたという誇りも感じました。

 ロブの思い出の品を身につけて東京マラソンを完走

東京マラソンまであと3週間というところで、ロブは出場できないことにひどく落胆していました。ロブが東京マラソン出場を目指して10年目の挑戦でようやく選ばれたこと、そして、ロブがどれほどの時間と情熱をトレーニングに注ぎ込んできたかを知ったので、彼の思い出の品を何か持って走らせてもらえないかと尋ねました。そうすれば、彼の一部がコースを完走できると思ったからです。彼は快く、過去のマラソン完走の証である留め金がいくつも付いたマラソンブラケットを私にくれました。彼の思い出の品を身につけることで、マラソンを完走し、彼と彼の歩んだ道のりを称えるための大きなモチベーションになりました。

東京マラソンは、世界中の多くの人々を結びつけています。中には悲劇的な状況にある人もいれば、勝利を収めた人もいます。ロブには長い回復の道のりが待っていることは承知していますが、マラソンランナーとしての精神力があれば、きっとすべての困難を乗り越えられると信じています。

もしインタビューリレーに選ばれた場合、ロブの娘で、父親のランニングに感銘を受けたサマンサに、2027年の出場権を譲っていただけないでしょうか? そうなれば、東京マラソンを通じたつながりは、まさに祝うべきものとなるでしょう。

世界中にある共通の糸、私たちは皆つながっている

私は、他人の人生に良い影響を与える機会となると思い、救急医療の道を選びました。ロブとの出会いは、地域社会に貢献したいという私の決意を改めて強くしました。そして、同じマラソンランナーの命を救うことができたのは、まさに最高の喜びです。

私とロブとの物語は悲劇的な始まりですが、真のつながり、そして一人ひとりが互いを支え合う力を持っていることを改めて教えてくれます。ロブとの出会いを通して、世界のどこにいても必ず共通の糸があり、私たちは皆つながっていること、そしてそのつながりがいつ訪れるかは誰にも分からないことを実感しました。

写真は、2026年のマラソンで私が身につけていたロブのブレスレットです。彼はまだ回復途中なので、来月会う予定です。

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