インタビューリレー

東京マラソンを通じて生まれたつながりのストーリー

私の一歩一歩が母への想いそのもの 途切れることがない親子のつながりのストーリー

私の一歩一歩が母への想いそのもの 途切れることがない親子のつながりのストーリー

「東京マラソンを通じて生まれた“人と人のつながり”のストーリー」をテーマにお届けするインタビューリレー 2nd Run。

今回は、母への愛をランニングに変えてアボット・ワールドマラソンメジャーズ(AbbottWMM)の完走を目指しているDazさんの「途切れることがない親子のつながりのストーリー」を紹介します。

闘病中の母はどんな日々を生きていたのか、理解したい

母は、私がこれまでに出会った中で最も強く、困難から立ち上がる力(レジリエンス)を持つ存在でした。COPD(慢性閉塞性肺疾患)を患い、一呼吸ごとが闘いのような毎日を生きていた母がどんな日々を生きていたのかを、ほんの少しでも理解したい。
その想いから私は2021年、人生で初めてマラソンに挑戦することを決意しました。当時の私はかなりの体重があり、1マイルさえ止まらずに走り切ることができない状態でした。それでも、息苦しさと向き合いながら42.195kmを走ることは、母が日常的に感じていた「空気を求める闘い」に近づくための、私なりの方法でした。

厳しいトレーニングを重ね、痛みに耐え、私は4時間24分で初マラソンを完走しました。それは本当に過酷なレースでしたが、母の強さに対する深い敬意を私の中に刻み込みました。そしてその一本のレースが、私の心に火をつけたのです。

私は、母への愛と誇りを伝えるため、そして肺の病気と闘う人々を支援するための募金活動として、AbbottWMMすべてを完走するという目標を掲げました。残る大会はあと2つ。そのうちのひとつが、今まさに私が目指している東京マラソンです。

ランニングは日々、希望と前に進む力を与え続けてくれる

AbbottWMMの完走を目指すこの旅は、私を根本から変えてくれました。
1マイルも走れなかった自分がいくつものマラソンを完走し、走るたびに速くなっていきました。けれど、本当の変化は、もっと深いところにあります。

ランニングは、他の何ものにも代えがたい形で「回復力(レジリエンス)」を教えてくれました。母が苦しむ姿を見続けた、人生で最もつらい年月の中で、私に目的を与えてくれたのがランニングでした。そして、母への愛を「行動」に変えてくれたのです。ランニングは、私と母をつなぐ存在になり、すべてのトレーニング、すべてのレース、そして苦しみながらの一呼吸、一呼吸は、すべて母のためのものなのです。

しかし残念ながら、2025年3月、母は亡くなりました。
すべてのメジャーマラソンを走り切る私の姿を、母に見せることはできませんでした。それでもこの挑戦を、より一層大切なものにしてくれました。

今では、私の一歩一歩が母への想いそのものです。母をそばに感じ続けるため、母の闘いを称えるため、そして母の強さを未来へと受け継ぐために走っています。最もつらい時期に、ランニングは私を救ってくれました。そして今もなお、日々、希望と前に進む力を与え続けてくれています。

愛は、想像以上に人を遠くまで連れていってくれる

この旅を通して、私がどうしても伝えたいメッセージがひとつあります。それは、「愛は、想像以上に人を遠くまで連れていってくれる」ということです。

愛する人が、自分ではどうにもできない闘いの中にいるとき、自分なりの形で隣に立ち、限界に挑み、共感を行動に変え、決して諦めないこと。それが、寄り添うための最も力強い方法になることもあります。

母は、COPDと向き合いながらも、決して弱音を吐きませんでした。毎日を静かな強さで生き抜く姿から、私は学びました。勇気とは、必ずしも見せびらかすようなものではない。苦しい中でも起き上がり、呼吸を続けること自体が、勇気なのだということを。

母が亡くなった今、AbbottWMMを走り切ることは、「ありがとう」「愛しているよ」「今も心の中で一緒に走っている」、そう伝えるための、私なりの方法です。

もしこのストーリーが、誰かが大切な人のために走り出すきっかけになったり、支える勇気を持ったり、肺疾患の研究や支援団体への寄付につながったりするなら、母の想いは、この先ももう少し長く続いていきます。

そして、母のために走り切ることができたなら、それ以上の喜びはありません。

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